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横浜地方裁判所 昭和38年(ヒ)9号 決定 1963年4月02日

申立人 株式会社野口屋清算人 鈴木喜平 外一名

主文

本件申立を却下する。

理由

本件申立の要旨は、

横浜市中区富士見町一丁目五番地に本店がある株式会社野口屋は、昭和三八年二月七日解散し、申立人等はその清算人であるが、右同日現在で会社の資産総額は、二五、八〇三、四三五円であるのに負債総額は七一、二九七、二八〇円以上であつて、四五、四九三、八四五円以上の債務超過となるから、商法の定めによつて特別清算開始命令を得たく、本申立に及んだ、というのである。

申立人等主張の右事実は肯認できるが、同会社の債権者の多数は会社に財産隠匿、詐害行為等の不正があるとし、特別清算開始に反対し、破産手続による厳格な清算を望んでおり、現に債権者中の有力債権者である東京チヨコレート製菓株式会社外二社から当裁判所に破産宣告の申立をしていることは本件記録並びに職権調査をした当庁昭和三八年(フ)第七号破産宣告申立事件記録によつて明らかであつて、本件で特別清算の開始を命じても、商法四四八条四五〇条による協定成立の見込が全然ないと認められる。

とすると、本件申立はその必要性を欠く点で理由がないから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 森文治)

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